都会と地方、同じ年収でも「実質的な豊かさ」はどう変わるか
年収500万円は、東京でも地方でも額面としては同じ500万円です。 しかし手元に残る余裕、つまり「実質的な豊かさ」は、 住む場所によって大きく変わります。
最大の変数は「住居費」
都会と地方で最も大きな生活コストの差を生むのが住居費です。 都心の家賃相場と地方都市の家賃相場では、同じ間取りでも 2〜3倍の開きがあることは珍しくありません。
年収500万円の人が都心で家賃10万円の部屋に住む場合と、 地方都市で家賃5万円の同水準の部屋に住む場合を比べると、 年間で60万円もの可処分所得の差が生まれます。 この差は、貯蓄や趣味、自己投資に回せる金額に直結します。
もちろん都会には都会の利便性という対価がありますが、 「額面年収」だけで生活の豊かさを判断すると、 この住居費の差を見落としてしまいます。
地方では「車の保有」が固定費として乗ってくる
一方で、地方の生活コストを考える際に見落とされがちなのが自動車関連費用です。 公共交通機関が発達していない地域では、車がないと生活が成立しないことが多く、 車両ローンや維持費、ガソリン代、駐車場代、任意保険料が 毎月の固定費として重くのしかかります。
一般的に、自家用車を1台維持するコストは、 ローン返済・保険・税金・車検・燃料費を含めると 月あたり3万円〜5万円程度になることが多いとされています。 家族で車を2台持つ世帯であれば、この負担はさらに大きくなります。
都会の家賃の高さと、地方の車の維持費。 この2つを比較して初めて、フェアな生活コストの比較ができます。
物価は「思ったほど地域差がない」品目も多い
「地方は物価が安い」というイメージがありますが、 実際にはスーパーの食料品や日用品の価格差は、 住居費や車の維持費ほど大きくないことが多いです。 全国チェーンの小売店が普及した今、都会と地方で価格がほぼ同じ商品も少なくありません。
一方で、外食費や娯楽費は都会の方が選択肢は多いものの単価も高くなりがちで、 地方は選択肢こそ少ないものの一回あたりの単価は抑えられる傾向があります。 「物価全体が地方は安い」と単純化するのではなく、 品目ごとに差があると捉えた方が実態に近いでしょう。
「時間の余裕」という数値化しにくい豊かさ
生活コストの比較だけでは見えてこないのが、時間的な余裕の違いです。 都会では通勤時間が長くなりがちな一方、地方では車移動中心で 満員電車のストレスがない代わりに、運転そのものが時間と集中力を使います。
休日の過ごし方についても、都会は娯楽施設へのアクセスが良い反面混雑しやすく、 地方は自然環境へのアクセスの良さや、混雑の少なさが魅力になります。 こうした時間的・心理的な豊かさは金額に換算しにくいものの、 生活満足度に与える影響は決して小さくありません。
自分にとっての「可処分所得」を試算してみる
都会と地方、どちらが実質的に豊かかを判断するには、 額面年収ではなく、住居費・車両費・物価差を織り込んだ 「実質的な可処分所得」で比較するのが最も実用的です。
- ● 候補地の家賃相場を、街くらべのデータで具体的な金額として把握する。
- ● その地域で車が必要かどうかを確認し、必要なら維持費を見積もる。
- ● 年収から住居費・車両費を引いた金額で、都会と地方の候補地を比較する。
この試算をしてみると、「都会は生活コストが高いから地方の方が得」 という単純な結論にはならないことが多く、むしろ職種や働き方によって 最適な答えが変わることが見えてきます。