大阪市24区の家賃はどれだけ違うのか——一番安い区・高い区と、東京23区との比較
大阪市24区の1R平均家賃は、最も安い大阪市大正区の47,511円から、 最も高い大阪市天王寺区の78,279円まで、1.65倍の幅があります。 24区の中央値は59,937円で、東京23区で最も安い区(67,137円)よりも低い水準です。 以下では全区の一覧、中心部と外周部の差、東京23区や大阪市に隣接する市との比較を順に見ていきます。
大阪市24区の1R家賃を、安い順に全部並べる
まずは一覧です。街くらべが持つ1R(ワンルーム)の平均家賃を、大阪市の行政区ごとに安い順に並べました。 表の「都心」の印は、この記事で「中心部」として扱う6区です(定義は次の節で説明します)。 右から2列目の15歳未満人口比率は、区の性格を見るための参考として載せています。
| 順位 | 区 | 15歳未満比率 | 1R平均家賃 |
|---|---|---|---|
| 1 | 大正区 | 10.1% | 47,511円 |
| 2 | 西成区 | 6.5% | 48,297円 |
| 3 | 平野区 | 10.9% | 49,164円 |
| 4 | 東淀川区 | 9.4% | 54,205円 |
| 5 | 住之江区 | 10.4% | 55,511円 |
| 6 | 西淀川区 | 11.3% | 55,659円 |
| 7 | 住吉区 | 10.8% | 55,813円 |
| 8 | 旭区 | 10.4% | 56,401円 |
| 9 | 港区 | 10.2% | 56,923円 |
| 10 | 生野区 | 8.7% | 57,255円 |
| 11 | 此花区 | 11.3% | 58,754円 |
| 12 | 東住吉区 | 11.0% | 59,249円 |
| 13 | 鶴見区 | 14.7% | 60,624円 |
| 14 | 城東区 | 12.0% | 60,934円 |
| 15 | 東成区 | 10.1% | 61,776円 |
| 16 | 淀川区 | 9.8% | 61,976円 |
| 17 | 浪速区 都心 | 6.9% | 64,401円 |
| 18 | 都島区 | 11.0% | 69,821円 |
| 19 | 阿倍野区 | 12.7% | 73,640円 |
| 20 | 西区 都心 | 11.5% | 74,200円 |
| 21 | 北区 都心 | 9.2% | 75,766円 |
| 22 | 中央区 都心 | 9.2% | 77,259円 |
| 23 | 福島区 都心 | 12.2% | 77,478円 |
| 24 | 天王寺区 都心 | 13.4% | 78,279円 |
緑の網かけは、24区の中央値より家賃が安い区です。区名から各区のページに移動できます。
最も安い大阪市大正区が月額47,511円、 最も高い大阪市天王寺区が月額78,279円。 差は月30,768円(1.65倍)で、年額にすると369,216円になります。 「一番高いのは梅田のある北区」と思われるかもしれませんが、このデータでの最高値は天王寺区でした。
一人暮らしの部屋探しでよく目安にされる「家賃6万円」で区切ると、1R平均家賃が6万円を下回る区は 24区中12区です。 都心6区はいずれも入っていません。 あくまで平均なので、同じ区の中でもこれより安い部屋・高い部屋の両方があります。
24区の中央値は59,937円です。 なお、大阪市全体として集計された1R平均家賃は62,219円で、24区の値を並べた中央値とは集計の単位が違うため、一致はしません。 安い側の上位3区(大正区・西成区・平野区)はいずれも中央値より 月10,773円以上安く、 一人暮らしで家賃を抑えたい場合の最初の候補になります。
中心部(都心6区)と外周部の差
「中心部ほど高い」という感覚がどこまで正しいかを確かめます。どの区を中心部とするかで結論が変わってしまうため、 この記事では不動産広告や市況レポートで「大阪都心6区」と呼ばれることの多い 北区・中央区・西区・福島区・天王寺区・浪速区の6区を中心部とし、残りの18区を外周部として扱います。 書き手の判断で区を出し入れしないために、一般に使われている括りをそのまま借りています。
1R家賃の中央値は、都心6区が76,513円、外周部の18区が57,089円。 都心6区のほうが月19,424円(1.34倍)高く、「中心部ほど高い」という感覚はおおむね当たっています。 ただし、上の表(安い順)での都心6区の順位は17・20・21・22・23・24位で、家賃が高い側の6区をすべて占めているわけではありません。
境界ははっきりした線ではありません。都心6区で最も安い大阪市浪速区(64,401円)より、 外周部の都島区・阿倍野区のほうが家賃は高くなっています。 「都心6区かどうか」という線引きよりも、梅田・難波・天王寺といった大きなターミナルへの近さや、住宅地としての人気が家賃に効いている可能性があります。
一方、都心6区に住んでいる人は24区の人口の22.2%にとどまります。 大阪市民の多くは外周部の区に暮らしていて、「大阪市の家賃相場」を都心6区の水準で考えると、実態より高く見積もることになります。
東京23区と比べると、どれくらい違うのか
同じデータで、東京23区と並べます。 23区の詳しい内訳は東京23区は本当に家賃が高いのかで扱っているので、ここでは大阪との対比に絞ります。
| 大阪市24区 | 東京23区 | |
|---|---|---|
| 最も安い区 | 47,511円大正区 | 67,137円足立区 |
| 中央値 | 59,937円 | 91,320円 |
| 最も高い区 | 78,279円天王寺区 | 196,115円港区 |
| 最高 ÷ 最安 | 1.65倍 | 2.92倍 |
中央値どうしで比べると、東京23区は大阪市24区の1.52倍 (月31,384円高い)です。 大阪市の「真ん中の区」の家賃は、23区で最も安い足立区(67,137円)にも届きません。
大阪で最も高い大阪市天王寺区(78,279円)を23区の高い順の並びに入れると、 23区中20位相当です (23区の北区の78,950円と、江戸川区の76,668円の間)。 大阪の最も高い区でも、23区の中では安い側に入るということです。
逆に、23区で最も安い足立区より家賃が高い大阪の区は 7区(都島区・阿倍野区・西区・北区・中央区・福島区・天王寺区)です。
区ごとの開きも違います。最高と最安の比は大阪が1.65倍、東京が2.92倍。 東京は一部の都心区が突出して高く、それが23区全体の「高い」イメージを作っています。大阪は区ごとの差が東京より小さく、都心に近い区でも極端な水準にはなっていません。
大阪市の外に出ると安くなるのか——隣接する11市との比較
「大阪市内は高いから隣の市へ」という選び方が、家賃の面でどれだけ効くのかを確かめます。 比較対象は、大阪市と市域が接している市のうち家賃データがある11市です (「近い」の範囲を恣意的に広げないよう、隣接している市に限りました。兵庫県の尼崎市を含み、堺市は区ではなく市全体の値です)。 これらの市は区と違って平均所得のデータもあるので、家賃負担率(1R家賃×12 ÷ 平均課税対象所得)も並べます。
隣接11市の中央値は55,200円で、大阪市24区の中央値59,937円より 月4,737円安くなります。 市境を越えると平均的には安くなりますが、その差は大阪市内の都心6区と外周部の差(中央値で月19,424円)よりずっと小さいものです。
ここが一番言いたいこと
大阪市内でも、大正区・西成区・平野区・東淀川区の 4区は、隣接11市の中央値(55,200円)より家賃が安い水準です。 24区で最も安い大正区より家賃が安い隣接市は、門真市の1市だけです。 「家賃を下げるには市外へ」と決める前に、市内の外周部の区を候補に入れる価値があります。
反対に、隣接市のうち吹田市・豊中市は、大阪市24区の中央値より高い水準です。 最も高い豊中市(73,059円)より安い区は、24区中18区あります。 隣接市だからといって、大阪市内の区より安いとは限りません。
隣接市の家賃負担率は17.6%〜20.2%の範囲に収まっています。 隣接市の中では家賃が高い市ほど住民の平均所得も高い傾向があり(順位相関 ρ = 0.86、11市)、家賃の差ほどには負担率の差は開いていません。
区ごとの「家賃負担率」は、このデータでは出せない
家賃が安いか高いかは、本来は住民の所得と合わせて見たいところです (考え方は「家賃は手取りの3割」は本当に正しいのかで扱っています)。 しかし、街くらべのデータでは大阪市の区の行に平均所得が入っていません (24区すべてで欠損しています)。 所得は市単位の値しか取り込めておらず、保育所数・診療所数も同じく区単位では入っていません。 そのため、この記事では区ごとの家賃負担率は出していません。
目安だけ示すと、大阪市全体の平均課税対象所得(3,727,621円)で各区の1R家賃を割った場合、 大正区で15.3%、天王寺区で25.2% 、24区の中央値の家賃で19.3%になります。 東京23区の家賃負担率の中央値(区ごとの所得で計算)は22.1%です。
ただし、これはどの区の住民も大阪市の平均と同じ所得だと仮定した参考値で、区の実態ではありません。 実際には区によって住民の所得水準は違うはずで、家賃の高い区ほど所得も高ければ負担率の差はもっと縮まり、逆なら広がります。 区単位の所得データが無い以上、どちらなのかはこのデータからは言えません。
15歳未満人口比率から見る「単身が多い区・子どもが多い区」
区の行には、人口に占める15歳未満の割合が入っています。家賃以外で区の性格をうかがえる数少ない指標なので、参考として見ておきます。 24区の中央値は10.6%です。
比率が高いのは鶴見区(14.7%)、天王寺区(13.4%)、阿倍野区(12.7%)、 低いのは西成区(6.5%)、浪速区(6.9%)、生野区(8.7%)です。 比率が高い区は子育て世帯が比較的多く住む区、低い区は単身者や高齢の世帯が多い区だと考えられます。 ただし、比率が低いことが「単身の若い人が多い」ことを意味するとは限りません。高齢化で子どもの割合が下がっている場合もあります。
家賃との関係を順位相関で見ると、ρ = 0.28(24区、弱い正の相関がある)でした。 「家賃が高い区は単身向け、安い区はファミリー向け」と単純には分けられないということです。 都心6区の中でも、西区・福島区・天王寺区は24区の中央値より子どもの割合が高く、 浪速区・北区・中央区は低くなっていて、性格が分かれています。
子どもの割合が街の変化とどう関係するかは 人口が増える街と減る街の分かれ目で詳しく扱っています。
この記事のデータで分からないこと
区選びの参考にしていただく前に、この比較の限界を書いておきます。
- ● 1Rの平均家賃だけである。1LDKやファミリー向けの間取りで区の順番が同じになるかは分かりません。築年数・駅からの距離・広さも平均に均されています。
- ● 区の中の差は見えない。同じ区でも、駅前と駅から離れた住宅地では相場が大きく違います。区で候補を絞ったあとは、駅単位で相場を見てください。
- ● 通勤時間は考慮していない。職場までの所要時間や乗り換えの手間はこのデータに含まれていません。家賃が安い区でも、職場によっては通勤の負担が大きくなります。
- ● 治安は区ごとに比べられない。 街くらべの犯罪率は大阪府全体の値が各区に同じように入っているため、区どうしの治安の差はこのデータからは分かりません。 治安が気になる場合は、大阪府警察が公開している犯罪発生マップなど、より細かい単位の情報を確認してください。
- ● 所得・保育・医療の区ごとの比較はできない。前述のとおり、これらは大阪市の区単位のデータが無いため扱っていません。
まとめ
- ● 大阪市24区の1R家賃は、最安の大正区から最高の天王寺区まで月30,768円(1.65倍)の開きがある。
- ● 都心6区の中央値は外周部より月19,424円高い。ただし境界ははっきりした線ではなく、都心6区の一部より家賃が高い外周の区もある。
- ● 中央値は大阪59,937円、東京23区91,320円。 大阪で最も高い区でも、23区に入れると20位相当。
- ● 市内でも4区は隣接市の中央値より安い。家賃のために市外へ出る前に、外周部の区も比べてみる。
区の平均で候補を絞ったら、各区のページで人口や子どもの割合も確かめ、最後は駅単位・物件単位で見ていくのが現実的な進め方です。
この記事の数字について(使用データ・算出方法)
- 出典
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- 民間賃貸物件データに基づく1R(ワンルーム)平均家賃
- 総務省「市町村税課税状況等の調」(平均課税対象所得)
- 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(人口)
- 総務省「国勢調査」(15歳未満人口)
- 算出方法
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- 大阪市の区は市区町村コード27102〜27128のうち名称が「大阪市◯◯区」の行。大阪市全体の集計行(27100)は区の比較から除外し、所得と市全体の家賃の参考値にのみ使用
- 都心6区は北区・中央区・西区・福島区・天王寺区・浪速区(不動産市況で一般に使われる括り)
- 東京23区は市区町村コード13101〜13123。集計行である特別区部(13100)は除外
- 隣接市は大阪市と市域が接する市(堺市〈市全体〉・豊中市・吹田市・摂津市・守口市・門真市・大東市・東大阪市・八尾市・松原市・尼崎市)
- 家賃負担率 = 1R平均家賃 × 12 ÷ 平均課税対象所得。大阪市の区は所得が欠損しているため算出対象外
- 中央値は値を昇順に並べた中央の値。15歳未満人口比率と家賃の関係はスピアマンの順位相関
- 集計対象
- 家賃データがある大阪市の24区、東京23区の23区、大阪市に隣接する11市。
本文中の順位・平均値・相関係数は、街くらべが保有する全国1,917市区町村のデータベースから ページ表示時に算出しています。 東京都特別区部(23区の合計値を持つ集計行)は二重計上を避けるため全ての集計から除外しています。 元データに欠損がある市区町村は、その指標の集計から除外されます。